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   <updated>2012-05-10T09:27:43Z</updated>
   <subtitle>国内外の漫画を読んでレビューを書くウェブログ</subtitle>
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   <title>DFC Library: The Boss</title>
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   <published>2012-05-10T09:15:00Z</published>
   <updated>2012-05-10T09:27:43Z</updated>
   
   <summary>中世以来の由緒ある古城へ校外見学の目的で訪れた中学生たちが、偶然に察知した強盗を未然に防ぐべく一致団結して探偵さながらの追跡をするという話。悪党に悟られることなく強盗の計画を突き止め、なおかつ教師の目を盗んで表向きは古城の見学を装うという離れ業がどのようにして可能なのかという理屈の組み立て方が見物のサスペンス。</summary>
   <author>
      <name>Mochi</name>
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   </author>
         <category term="Comics" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kosame.org/">
	<![CDATA[<dl class="caption" lang="en" xml:lang="en">
<dt><a href="/reviews/comics/dfc-library-the-boss-closeup.jpg" class="zoom" title="DFC Library: The Boss by John Aggs &amp; Patrice Aggs"><img src="/reviews/comics/dfc-library-the-boss.jpg" alt="DFC Library: The Boss: Cover" height="167" width="120" /></a></dt>
<dd><ul><li><cite>DFC Library: The Boss</cite></li>
<li>Writer: John Aggs</li>
<li>Artist: Patrice Aggs</li>
<li>Publisher: David Fickling Books</li>
<li>Publishing Date: November 2011</li>
<li>Size: 21.5cm x 30.3cm</li>
<li>ISBN: 9780857560261</li>
<li>Format: Hardcover</li>
<li>64 pages</li>
<li>£9.99</li>
</ul></dd>
</dl>


<h2 class="subhead">レビュー</h2>

<p>David Fickling Booksはランダムハウスのインプリント。<a href="http://www.davidficklingbooks.co.uk/" title="David Fickling Books website">公式サイト</a>の説明によればオックスフォードの小さな出版社だとか。本書のあらすじは、中世以来の由緒ある古城へ校外見学の目的で訪れた中学生たちが、偶然に察知した怪しげな男の不穏な計画を未然に防ぐべく「ボス」の指揮のもとに一致団結して探偵さながらの追跡をするというもの。悪党に悟られることなく悪巧みの計画を突き止め、なおかつ教師の目を盗んで表向きは古城の見学を装うという困難な問題に対して、当意即妙の判断で次つぎとピンチを切り抜けていく過程が見物のサスペンス。</p>

<p>子供ながらにスコットランドヤード顔負けの活躍をする主人公のクラス一同は、一見したところどこにでもいそうな中学生の集団に見える。彼らの多くにとって古城の見学はたいして関心をそそられるイベントではないようで、往路の道中で早くも一部の生徒からはあからさまな倦怠感がうかがえる。そんな雰囲気の中、ふと耳に入ったのが悪党の計画の一端であり、これは子供たちにとって古臭い歴史的建造物の散策よりもはるかにエキサイティングな出来事に聞こえたのかもしれない。しかし、自分たちだけで得体の知れない悪巧みを阻止するといった危険にあえて挑むに及んで、退屈だからというのは説得力のある理由にならないだろう。まして学校行事の時間割を変更することなく、そのあいだにという条件付きだ。僕にはなぜ生徒の誰も不平不満を抱くことなく、二兎を追うような面倒極まりない提案に同意したのか不思議でしょうがなかった。ひょっとしたらこの生徒たちの通っているのはかなりの名門で、裕福な家庭の子女を対象とした学校だということが傍証的な背景としてあるのかもしれない。つまり、目的に向かって皆が協力しあうという優等生的な姿勢や、事態を仕切ろうとする人間に対して変に意地悪く邪魔をしたりしないという素直さの背景には、彼らの育ちの良さということがあるのかもしれない。イギリス人の読者ならば彼らの着ている制服や顔立ち、立ち居振る舞いなどを見てその辺りの見当がつくのかもしれないが、事情に疎い僕にはよくわからないところだ。</p>

<p>ちょっと横道にそれるけれども、生徒たちが着ているブレザーとイギリス人ということで思いあたる漫画がひとつある。マンチェスター在住の漫画家ジョン・アリソンの <a href="http://scarygoround.com/" title="Scary Go Round presents Bad Machinery">Bad Machinery</a> というウェブコミックがそれで、主な登場人物のひとりであるショーナという女の子は、ブレザーを着る必要のある学校へ通う家族の中で最初の人物だというような説明がされている。この子は家族のことが著者の前作の <cite lang="en" xml:lang="en">Scary Go Round</cite> の終盤で露骨に描写されていて、いろいろ騒動があったんだけれども、簡潔に言ってしまうと貧乏でガラの悪い家族のなかで育ったということだ。日本では学校の制服がブレザーか、そうでないかということは着る本人の好みを除けば特に社会的に意味を持つような違いはないけれども、イギリスでは「ブレザー」というだけで伝わるニュアンスがあるということなんだろう。</p>

<p>当初、彼らがつかんでいたのは昼食時に同じ食堂で飯を食っていた男が、どうやら古城で何か悪さをしようとしているということと、そいつが捨てた古城の観光案内と思われるチラシの切れ端に過ぎなかった。そこからスタートしてまず計画が強盗であることを割り出し、さらにその具体的な手口を突き止め、犯行後の逃走方法を解明するにまで至っている。なぜ子供たちだけでそんなことが可能なのかという疑問に対して、作者は犯行現場の環境や、現代っ子のライフスタイルにまで浸透したテクノロジーの威力など説得力のある設定でもって答えている。</p>

<p>この生徒たちが悪党に気づかれることなくその足取りを隈なくつかむことが出来たのは、何よりもまず古城が遺跡でありながら観光地化されていて多くの訪問客でごった返しているという事情が挙げられる。人ごみの中に紛れればそこからさりげなく周囲へ向けた視線も目立たない。同じように歴史的遺物を擁する施設であっても、例えば博物館のように静かで人の流れの穏やかな場所だったならばこうはいかないだろう。そして、生徒たちにとって最大の武器となるのが携帯電話だ。城の中庭に散らばった彼らが携帯片手に常に連絡を取り合うことで尾行の人数を最低限に抑え、監視の眼の死角をなくし、情報をリアルタイムに共有し、さらに写真を撮ることまで出来てしまう。制服を来た生徒が携帯に掛かりっきりになっている姿はもはやどこでも見慣れた光景であって、たとえ多少落ち着かなさげであっても怪しむ者などいるはずもない。イギリスの古城であっても同様ということだ。彼らの目的にとってこれ以上便利な道具はないだろうし、そもそもこれがないと話にならない。</p>

<p>生徒たちの活躍を可能にしたいくつもの条件のうち、犯行の現実性から考えて多かれ少なかれ不自然であり、主役である生徒たちに有利に仕組まれ過ぎていると思えるのは、悪党の軽率な挙動だ。そもそも生徒たちが計画を嗅ぎ付けたのは、公共の場で周囲に聞こえる声で犯行の打ち合わせが行われていたからであり、用心深いひそひそ話だったならば計画が露見することはありえなかった。もっとも、悪党たちもそれなりに言葉は選んでいてあからさまに「盗む」とは言っていないし、また通りすがりの子供たちの耳に入ったところで計画の障害になるとは思いもよらなかっただろうとは推測される。しかしながら、それにもまして不自然に思えるのは、子供たちの活躍を成立させるための唯一の物的証拠である観光案内のチラシを犯行前に捨てているという点だ。実行犯にとって強盗の対象となる物品はよく知っていて見慣れたものなどではなく、したがってチラシは少なくとも犯行の直前まで手元に置いとくのが自然だったはずだ。これ以外の悪党の不手際、すなわち軽率な行動や杜撰な犯行計画などについては、ある程度には擁護することのできる根拠がある。それは実行犯があくまで強盗計画の下請けということだ。頼まれた目的を達成して現場から逃げおおせることが出来さえすれば、それ以外の要素はどうでもいいと考えているのかもしれない。そうであるならば犯行の手際の良さや計画の機密性などに無頓着なことも納得がいく。また、この手の組織的な悪事には付き物の裏切りを読者は予見すべきなのかもしれない。目当ての物を奪取した暁には黒幕は高飛びして行方をくらまし、実行犯は切り捨てられてお縄となるといったような……。したがって悪党のお粗末な設定は、下っ端などこんなもんだとして看過すべきなのかもしれない。しかし、そういった点を踏まえても、やはりチラシを捨てた件については筋立ての都合を優先しすぎた不自然な行動だと結論付けずにはいられない。</p>

<p>事前に悪党がヒントをばらまくかのような、犯罪物としての下準備のお粗末さはあるにせよ、生徒たちが古城に到着して実際に秘密裏の追跡を始め、強盗の決定的瞬間を押さえるまでに至る本編の大部分については、僕は子供たちだけの活躍がかなりの程度で実際に再現可能であるということに驚かずにはいられなかった。彼らの活躍の最大の要因は、観光地としての遺跡が舞台となっていることであり、これは具体的には危険を冒してまで盗むだけの貴重な価値を持つ物があり、なおかつ中学生が校外見学で訪れる類の教育的な目的を満たす場所であり、そしてほかの観光目当ての訪問者も多数押し寄せる場所であるという条件が重なっている。強盗という犯罪の現場としては特殊で、あえて選び抜かれたもののように見えるかもしれないが、しかし現実世界において決して例外的ではなく、ありふれた環境だと言えるだろう。少なくとも、それなりに古い歴史を持っていて、遺跡の保存よりも訪問客をさばいて収益を上げることが優先されていて、官僚主義的に適当なセキュリティでもって管理されている観光地があるような国においては……要するにどこの国であっても決して珍しい環境ではないと言えるだろう。犯行の舞台が、主役である生徒たちにとって有利に働くだけではなく、現実世界に照らし合わせても決してわざとらしく仕組まれたものではないといった特徴を挙げると、いかにも作り物としてのフィクションらしいずいぶんと都合のいい好条件がそろっているように聞こえるかもしれない。しかし、これは設定の両義性ということを考えれば別に不自然でもなんでもないだろう。犯行の場所が観光地化されていて人でごった返しているということは、悪党にとっても現場で目立ちにくいということであり、また犯行後には群衆にまぎれて逃げ出しやすいという利点でもある。悪党は子供たちが手柄を立てやすい場所をわざわざ選んでいるわけではないということだ。</p>

<p>前述したように大それた犯罪にのぞむわりに悪党がそそっかしいということを除けば、この作品の登場人物はほぼどこにでもいそうな現実味のあるキャラクターで占められている。例外は主人公を務める天才少年のボスだけれども、このことは天才少年を主人公にして物語を作るという作者の根本的な選択によるものなので受け入れるほかない。つまり、こんな冷静沈着で頭の働く中学生がいるかとケチをつけてみても意味がないだろう。また実際のところ、リーダーシップを発揮して問題を解決した経験が豊富で、探偵のような仕事に興味を持っている早熟な子供ならば、この主人公くらいの才気走った言動は許容範囲と言えるだろう。少なくともフィクションであることが前提ならば。僕が不満を覚えるのは、この天才的な主人公を、別に天才でもなんでもない周囲の子供たちがどのように受け入れているかという態度のほうだ。校外見学を実質的にないがしろにして危険な悪党に挑むという主人公の賭けに生徒の皆が賛同してしまうというのが不思議だ。古城の散策が退屈だというのならば、現場で適当に飲み食いしながら時間をつぶせばいいだけのことじゃないだろうか。わざわざ面倒なことに首を突っ込む必要があるだろうか？ 生徒の誰一人としてボスの提案に異を唱えないばかりか、陰口的な反発さえ聞かれない。ボスの独断で決定した役割分担については、自分の受け持ちに納得のいかない生徒が一人いて即座に不満をぶつけたけれども、それはその場限りのことで、その後は誰一人としてボスの指揮に逆らうものはいない。物語を最後までたどってみれば、なるほどこのボスのような天才の指揮に任せて皆が一致団結して協力するならば大抵のトラブルは解決できてしまうと、生徒たちが信じるのも無理はないとわかる。しかし、ボスの指揮の下で犯罪を防ぐことが出来るかどうかという判断と、自分が実際に駒の一つとなって働いてみるかどうかという判断は別物だろう。生徒たちはあまりにもボスに従順過ぎる。そのいっぽうで、この作品は登場人物の多さで読者を混乱させることなくスムーズに話の筋をたどらせることにおいてはかなり上手くやっている。ボスのほかに生徒は十数人ほど名前付きで登場するが、それぞれの名前を記憶しようとことさら意識せずとも問題ない。城の中庭に散らばった生徒たちが携帯で連絡を取り合う際に彼らの名前がたびたび呼ばれるけれども、多くはその生徒に割り振られた仕事の内容をコンテクストにして会話がなされるため、実際のところ登場人物の名前など覚えなくとも読み進めるのに苦労はしない。以上の二つの意味で、この作品の登場人物の導入の仕方は半ば成功で半ば失敗といったところだ。</p>

<p>ボスとほかの生徒たちがどれだけ犯人について証拠を集めたところで、結局のところはただの子供に過ぎず、逮捕する権限もその能力もあるはずがない。どこかで警察の出番を期待しなければならなくなるわけなんだけれども、この問題についてのボスの判断の仕方が僕の気に入っている数少ない部分だ。怪しげな男が古城で何か悪いことをたくらんでいるらしいなどと警察に訴えてみたところで、会話を録音したわけでもないので、まともに相手にされないだろう。彼らの教師に相談しても同じことだ。根拠の不確かな子供の言い分を大人たちがどうあしらおうとするかということをよく承知している。また、数に物を言わせて悪党を現行犯で取り押さえようと考えないのもいいところだ。ボスは子供離れしたヒロイックな活躍をしたいなどと夢見ることなく、危険を冒すことにロマンを感じるわけでもなく、決定的瞬間は警察の手にゆだねることを当初から想定していた。この犯人および警察との距離の取り方は、あくまで子供として出来る範囲のことをするという分をわきまえた判断に基づくものであり、その地に足の着いた現実性が僕の気に入っているところだ。この古城での強盗を捕らえるのにスーパーヒーローは必要なく、スーパーヒーローの真似事をするような蛮勇も必要ない。地味だが確実に証拠を集めて後は警察に任せればいいという、献身的だが誇示することのない、言わば必要最低限の活躍とでもいった感じにとどまっているのが好感を覚える。</p>

<p>筋立ては序盤において、ごく普通の中学生たちがまるで校外見学と犯人追跡をかけもちでやるために存在しているかのごとき唐突な展開にやや置いてきぼりを喰らわせる感じがあるけれども、古城で実際に追跡の過程に入ってからはそんな懸念を忘れさせるほどにおもしろい。特に司令塔のボスも想定していないハプニングが生じた際に個々の役割を担った生徒たちがどう対処するかという問題に対して、天才でもなんでもない彼らが子供らしい感性と機知でもって切り抜けていく手際は鮮やかだ。また、終盤は場面の切り替わりのあいだに時間を経過させたりすることなく一直線に話が進み、しかも作品世界の中で出来事の展開の速さと、僕がページを読み進めていく速さとがかなり近い感じになっているので、まるでリアルタイムに起こっている出来事を体験しているかのような興奮を味わった。</p>

<p>絵については、人物のポーズとコマ割りについては日本の読みやすいタイプの漫画と比べても遜色がないように感じられた。具体的にどうこう説明は出来ないが。フダキシはどのコマを見ても、それ専用の定規でも当てて描いてるんじゃないかと思えるような決まりきった楕円形で統一されているけれども、コマの中の時間の経過に逆らって大量のテキストを詰め込んだりすることなく抑えられている。不満な点は、まず人物をかたどる描線が常に同じ感じでよれよれとしていて、感情の起伏やその場のテンションに合わせて強弱をつけるということをしないため、ここぞという場面で何だか力が抜けたように目に映ってしまうということがある。それから目の描き方のスタイルを場面によって使い分けるという、その使い分けに統一感がないということもある。力強い意志を示す目つきを描けないわけじゃないんだが、なぜかモブキャラのようにゴマのような形のシンプルな目で済ましてしまうことが幾度もあって興ざめさせられてしまう。要するに目力がない。</p>

<p>僕は当初この漫画を読み進めている際、そして読み終わった直後も、これは年に一冊出会えるかどうかというくらいの傑作なんじゃないかと感じていたんだけれども、レビューを書くために読み直したり、細部を考えたりしているうちにいろいろ粗が見えてきてしまい、結局のところそこまで持ち上げる気にはなれないということになってしまった。それでも、短篇の傑作のひとつだという評価には変わりない。</p>]]>
   </content>
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   <title>Explorer the Mystery Boxes</title>
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   <published>2012-04-01T06:00:00Z</published>
   <updated>2012-05-09T21:20:49Z</updated>
   
   <summary>「不思議な箱」というお題に基づく七つの短編からなるアンソロジー。タイトルと表紙のイメージが期待させるような冒険物やミステリーにとどまらず、ホラーやコメディなど多様なジャンルの作品を収録している。そのいっぽうで、どの主人公も年が若く、ストーリーの上でもかなり若い読者層を対象としている点では共通している。</summary>
   <author>
      <name>Mochi</name>
      <uri>http://kosame.org/</uri>
   </author>
         <category term="Comics" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kosame.org/">
	<![CDATA[<dl class="caption" lang="en" xml:lang="en">
<dt><a href="/reviews/comics/explorer-the-mystery-boxes-closeup.jpg" class="zoom" title="Explorer the Mystery Boxes edited by Kazu Kibuishi"><img src="/reviews/comics/explorer-the-mystery-boxes.jpg" alt="Explorer the Mystery Boxes: Cover" height="180" width="120" /></a></dt>
<dd><ul><li><cite>Explorer the Mystery Boxes</cite></li>
<li>Editor: Kazu Kibuishi</li>
<li>Publisher: Amulet Books/Abrams</li>
<li>Publishing Date: March 2012</li>
<li>Size: 15.2cm x 22.8cm</li>
<li>ISBN: 9781419700095</li>
<li>Format: Softcover</li>
<li>128 pages</li>
<li>$10.95</li>
</ul></dd>
</dl>


<h2 class="subhead">レビュー</h2>

<p>「不思議な箱」というお題に基づく七つの短編からなるアンソロジー。タイトルと表紙のイメージが期待させるような冒険物やミステリーにとどまらず、ホラーやコメディなど多様なジャンルの作品を収録している。そのいっぽうで、どの主人公も年が若く、ストーリーの上でもかなり若い読者層、つまり子供を対象としている点では共通している。</p>

<p>収録作品は以下の通り。</p>


<ul lang="en" xml:lang="en">
<li><cite>Under the Floorboards</cite> by Emily Carrol</li>
<li><cite>Spring Cleaning</cite> by Dave Roman &amp; Raina Telgemeier</li>
<li><cite>The Keeper's Treasure</cite> by Jason Caffoe</li>
<li><cite>The Butter Thief</cite> by Rad Sechrist</li>
<li><cite>The Soldier's Daughter</cite> by Stuart Livingston with Stephanie Ramirez</li>
<li><cite>Whatzit</cite> by Johane Matte with Saymone Phanekham</li>
<li><cite>The Escape Option</cite> by Kazu Kibuishi</li>
</ul>



<p><cite lang="en" xml:lang="en">Under the Floorboards</cite> はホラー作品。不思議な人形から持ち掛けられた好都合な提案に乗じて、本来自分でやるべき面倒な雑事を肩代わりさせていた娘が、次第に自分の存在そのものを人形におびやかされていくという話。親の躾を疎ましく思う娘の怠惰な気持ちにつけこんで人形が家庭に侵食していく様子を不気味に描いている。人形が娘に代わって部屋の掃除をしたりする、その成り代わりの度合いに段階がつけられていて、読者の意表を衝く瞬間がいくつか用意されている。20ページ足らずという短い紙幅を考慮すればそれなりによく出来ていると言うべきかもしれない。ただし、人形が人間の娘と入れ替わってしまうという、ゾッとするような話の膨らませ方をした割にオチはあっけない。それに、オチをつけるための条件となっている人形の設定がそもそも恣意的だ。そうでもしなけりゃこの短いページ数で話を終わらせることが難しかったからそんな設定を選択したんだろうとしか考えられない。絵柄については、人物の輪郭がかなり大雑把で、描線の引き方も無造作な点が目につく。物の質感は乏しく、人物のポーズはぎこちない。主人公の着ている上着はまるでボール紙で出来ているみたいだし、なで肩の緩やかな曲線は描けていても、曲げた肘を平気で鋭角にかたどってしまうため二の腕から下が幾何学図形の組み合わせように見える。また、アップに堪える表情が描けないのも残念なところだ。本来なら読者の視点を引き寄せて迫力に訴えるべきところで、単純にコピー機で拡大したような、粗い線で縁取られた間延びした顔を突きつけられてしまう。</p>

<p>本作は冒頭に収録されているので当然のことながらこれから読み始めたんだけれども、先にいろいろ挙げた理由の通り、正直言ってあまりおもしろいとは思わなかった。しかし、結論から先に言うと、実は本書の中ではこの作品がいちばん出来がいいと認めざるをえない。以下に続く作品のほとんどがもっと酷い出来だからだ。良かった点を挙げるならば、まず主人公の女の子が、厳しく非難されるほどではないが、しかし安直で楽観的な、いかにも子供らしいエゴイズムでもって怠惰な自分を肯定していること、つまり、どこにでもいそうな普通の子どもということだ。そして、自分の経験から学んだうえで考えを改めるに至っている。納得がいくし、説教臭くない。筋立ての都合でもって不自然に言動を矯正されることもなければ、大人が期待するような正解を選ばされてもいない。主人公はやがて人形に雑事を代行させるという怠慢を改めるけれども、それはあくまで恐怖が理由であって、勉強や雑事をすることが本来は自分のためなんだと気づいたからではない。単純に人形に乗っ取られる恐怖から逃れるため、ただそれだけだ。しかし、状況に身を置いた立場として自然であり、理解できる選択だと言える。</p>

<p><cite lang="en" xml:lang="en">Spring Cleaning</cite> は軽めのコメディ。自室のクローゼットから出てきた見覚えのない箱をインターネットで売却しようとした少年が、その箱を狙って次つぎと現れる魔法使い同士の争いに巻き込まれるという話。魔法使いが皆、箱を我が物とすることしか考えていない強欲な性格であるということがユーモラスに描かれていて、本書の全ページを通じて唯一ささやかな笑いを提供してくれる箇所になっている。謎の箱の正体や魔法使いたちの素性についての説明が決して大掛かりな、真面目ぶったファンタジー的設定ではなく、行き当たりばったりのホラ吹きに近いものにとどまっているのがいいところだ。説明されている内容が嘘だというのではなく、あくまでコメディのお膳立てとして使われていて、魔法に関係する恣意的な設定にリアリティを持たせようと無理をしていない。箱が実は対となって機能するものであるという真実が、少年と隣家の少女との関係に含みを持たせる象徴的な意味合いを持っていて、ただのドタバタ喜劇ではなく、テーマらしいテーマも一応は備えている。ただし、話の締めくくり方が弱い。箱をめぐって魔法使いたちが相争うという関係を転じて何か新しい状況を生み出すのではなく、ひたすら子供のケンカのように争いを続けるという消極的で意外性のないオチになっているのが残念だ。</p>

<p><cite lang="en" xml:lang="en">The Keeper's Treasure</cite> は財宝を求めて人里離れた山奥にある寺院へたどり着いた青年と、その財宝の番人とのやりとりを描く短編。青年の目的である金銀財宝などの富に対して、番人が心に抱く奔放な想像力を優位に置いて対照的に風刺している。端的に言えば、金銭的な豊かさよりも心の豊かさのほうが大切なんですよと、読者に教訓を垂れるしょうもない話。番人が財宝の正体を夢見ながら自分では中身を確かめようともしないこと、青年に財宝をただでくれてやって気にも留めないことなど、想像の世界に安居する番人の設定に説得力がない。無理のある強がりを言ってる様にしか聞こえない。絵柄はカズ・キブイシに似ていて、本書に収録されている作品の中では、画力に訴えて読ませることが出来るほうだと思えるけれども、残念ながら背景といい、財宝の山といい、特筆するほどの迫力はない。</p>

<p><cite lang="en" xml:lang="en">The Butter Thief</cite> は画風やキャラクターの設定などいろいろと変り種と言える作品。バターを盗みにやって来た精霊に呪いをかけられ、同じような精霊の姿に変えられてしまった娘が、もとの人間の姿に戻してもらうために協力して自分の家からバターを盗もうと奮闘する話。盗みに来たとはいえ、悪戯っ子のようにあどけなく、チャーミングな精霊と娘とのささやかな共感をほのぼのと描いている。一読して目に付くのは、家のおばあさんが日本語で喋っていることで、このおばあさんの台詞だけ漢字とひらがなの縦書きでもって書かれている。擬古文的な言葉遣いをしているが、バターのことをわざわざ「乳酪」と呼んでいるほかは実際の日本語としておかしなところはない。輪郭線を引かずに人物や背景を塗り分けによって描いていることや、パステルカラーの色調からはCGアニメからの漫画化のようにも見える。精霊が鹿のようなツノを生やし、隈取りをした狸か猿のような顔に上向きの鼻がついているという妙なキャラクターデザインは独特で可愛らしい。人間から見れば小人に等しい大きさの精霊から見た視点はそれなりに臨場感があるけれども、話自体が他愛なく、娘と精霊のちょっといい話といった程度にとどまっている。</p>

<p><cite lang="en" xml:lang="en">The Soldier's Daughter</cite> は戦争で殺された父親の仇を討とうと旅立つ娘の話。復讐は亡き父の本意ではないと押しとどめようとする兄に逆らって、血気盛んな妹は敵の将軍を討ち取るべく独りで家を出るが、途中で出会った謎の老人に見せられた幻想的なヴィジョンによって考えを改めるに至る。これまた、復讐はいけませんよ、戦争に勝者などいませんよ、暴力はいけません、兄妹仲良くしましょうといった、うんざりするような教訓話だ。妹を心変わりさせるヴィジョンに何の説得力もなく、長々と続く説教によって結論へまっしぐらに向かってしまう。せめて、老人の説得にもかかわらず、怒りを抑え切れない妹が復讐に走ってしまうが、その結果……というような展開が続けばまだしも、わかりきった理屈を並べ立てられて主人公が素直に改心してしまう筋立ては読むに堪えない。安直に正しい選択肢を読者である子供に押し付けるくらいなら、怒りに任せて復讐を求めてしまう悪い主人公を描いたほうがマシだろう。本書を手に取るくらいの歳の子供なら善悪の判断くらいつくだろうし、そもそも善悪の判断など読者の裁量に任せるべきだ。作品の中で主人公に正しい選択をさせなければ子供に誤った影響を与えてしまうと考えているのならば、子供を馬鹿にしすぎだろう。絵柄も、くっきり太い線と、開いた口が半円形になるようなデフォルメされたキャラクターデザインとが、むしろギャグ漫画向きであってテーマにそぐわない。</p>

<p><cite lang="en" xml:lang="en">Whatzit</cite> は宇宙船で貨物を運ぶ運送業者のじいさんを持つ孫がほかの従業員から身内びいきを妬まれて邪魔をされるというちょっとしたトラブルを描いた話。けばけばしい色使いといい、簡単にひしゃげそうなゴム人形のような人物造形といい、目や口を巨大に描くデザインといい、アメリカの子供向けカートゥーンアニメにいくらでもありそうな感じだ。実際、話もいじめられっ子がいじめっ子にしっぺ返し的な報復をするという、いかにも子供向けの他愛ない内容だ。</p>

<p><cite lang="en" xml:lang="en">The Escape Option</cite> は突如として姿を現した異星人に滅び行く地球の運命を聞かされた青年が、種の保存のため彼らの星への移住を持ち掛けられるというSF。青年は移住を逃避だとみなし、地球に残って危機を救うために何か出来ることがあるはずだと結論付ける、それだけの話。異星人は青年に彼らの星の哀れな真実の姿を見せてなく、暗にどこの星に行っても現実に抱えた問題から逃げていては駄目なんだということが仄めかされている。またもや、うんざりするような教訓の押し付けだ。なるほど、確かに地球を見限ってよその星へ逃げるより、地球を何とかしようと努力するほうが結構なことには違いない。しかし、そんな教訓を垂れること以外に何もない漫画のどこをどうおもしろがって読めばいいのかわからない。また、青年の選択がどうあれ、地球の運命を知っているという異星人に対して具体的にどのような原因でもって地球が滅ぶのか尋ねようともしないのが不自然だ。さらに、本人が言うようにごく普通のどこにでもいそうな一青年が地球の滅亡を防ぐためにいったい何をするつもりなのか、まったく説明しない。エコバッグを使用することが地球環境の保全に役立つというような噴飯もののコメントを吐かせたりはしてはいないが、それすらない。何もない。漠然と、地球を見捨てないという選択をしただけだ。絵柄は、人物が簡略化されている割に背景を緻密に描く日本の平均的なアニメに近い。表紙を一瞥すればわかるようにこの作者はそれなりに写実的な背景を描くことが出来て、この作品に登場する箱のような神秘的なオブジェで読者の目を惹きつけることも出来ただろう。しかし、残念ながら話はつまらないが絵の魅力だけで読ませるというほどには至っていない。写真を加工したと思しき背景の上で人物が完全に浮いて見えてしまう箇所があって調和していない。また、風の勢いや日光の照り返しを表現するために、森の木々がところどころ不自然なほど部分的に刷毛でさっと刷いたような加工をされていて興ざめさせられる。異星人の住む星の姿が未来のプロジェクターのような技術でもって映し出されるコマが一つあって、ここは上手くやればそこだけ切り取って額に入れても絵になるようなコマになれたかもしれないが、残念ながらどこかの大都市の遠景写真を適当に画像編集ソフトで加工したのが哀れなほどにバレバレだ。</p>

<p>結論としては、子供向けということをどのように内容に反映させるのかという姿勢が、そのまま作品の出来につながっているように思えてならない。また、どの作品もオチが弱く、比較的に読める作品であってもまるでページ数を気にして急展開を強いられているかのようにあっけなく終わってしまっているのが残念なところだ。</p>]]>
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   <title>Never Learn Anything From History</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kosame.org/2012/02/never-learn-anything-from-history/" />
   <id>tag:kosame.org,2012://1.294</id>
   
   <published>2012-02-02T10:05:00Z</published>
   <updated>2012-02-02T10:08:01Z</updated>
   
   <summary>カナダ出身の若手でLiveJournalを拠点として人気を博す漫画家、ケイト・ビートンの作品集。収録されているコミックはウェブで公開されていてタダで読むことができるものばかり。本来はコアなファン向けであることに違いないだろうが、ゆるいファンであっても紙媒体のほうを好む僕のような読者にはありがたい一冊だ。</summary>
   <author>
      <name>Mochi</name>
      <uri>http://kosame.org/</uri>
   </author>
         <category term="Comics" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kosame.org/">
	<![CDATA[<dl class="caption" lang="en" xml:lang="en">
<dt><a href="/reviews/comics/never-learn-anything-from-history-closeup.jpg" class="zoom" title="Never Learn Anything From History by Kate Beaton"><img src="/reviews/comics/never-learn-anything-from-history.jpg" alt="Never Learn Anything From History: Cover" height="119" width="120" /></a></dt>
<dd><ul><li><cite>Never Learn Anything From History</cite></li>
<li>Author: Kate Beaton</li>
<li>Publisher: TopatoCo</li>
<li>Size: 20.3cm x 20.3cm</li>
<li>Format: Softcover</li>
<li>72 pages</li>
<li>$18.00</li>
</ul></dd>
</dl>


<h2 class="subhead">レビュー</h2>

<p>カナダ出身の若手でLiveJournalを拠点として人気を博す漫画家、ケイト・ビートンの作品集。収録されているコミックはウェブで公開されていてタダで読むことができるものばかり。本来はコアなファンに向けたものであることには違いないだろうが、ゆるいファンであっても紙媒体のほうを好む僕のような読者にはありがたい一冊だ。</p>

<p>タイトルはおそらくヘーゲルの言葉のもじり。<cite>歴史哲学講義</cite>（岩波文庫版長谷川宏訳）の序論でヘーゲルはこう述べている。</p>

<blockquote><p>君主や政治家や民衆にむかって、歴史の経験に学ぶべきだ、と説く人はよくいますが、経験と歴史が教えてくれるのは、民衆や政府が歴史からなにかを学ぶといったことは一度たりともなく、歴史からひきだされた教訓にしたがって行動したことなどまったくない、ということです。</p></blockquote>

<p>本書に収録されているコミックは以下に列挙した通り。LiveJournalのほうが読者のコメントを読むことができて便利だと思っていたけれども、アーカイブから目当てのコミックを探しづらいし、著者が以前LiveJournalの仕様について愚痴っていたことも考慮して、おそらくは先々まで消えることのない本家harkavagrant.comのほうへ原則的にリンクを貼った。ちなみにサイト名の由来は<a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=132" title="Hark, a vagrant: 132">著者の体験した実話と思しき出来事</a>から採られている。</p>

<p>タイトルの前の記号はあくまで僕の個人的な好みを示すもの。◎はとてもおもしろい、かなり好き。○はまあまあおもしろい。△はあまりおもしろくない。？はユーモアのポイントがわからない、といった感じで参照のための利便を考慮してつけてみた。</p>

<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Better luck next time</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=2" title="Hark, a vagrant: 2">Hark, a vagrant: 2</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>◎ <cite lang="en" xml:lang="en">Jane and Ben</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=4" title="Hark, a vagrant: 4">Hark, a vagrant: 4</a> <a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=23" title="Hark, a vagrant: 23">Hark, a vagrant: 23</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">His list of eccentricities is worth the read</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=5" title="Hark, a vagrant: 5">Hark, a vagrant: 5</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>○ <cite lang="en" xml:lang="en">The peach basket man is hard done by</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=6" title="Hark, a vagrant: 6">Hark, a vagrant: 6</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>？ <cite lang="en" xml:lang="en">To be the best</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=161" title="Hark, a vagrant: 161">Hark, a vagrant: 161</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>○ <cite lang="en" xml:lang="en">Happy Canada Day</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=10" title="Hark, a vagrant: 10">Hark, a vagrant: 10</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>？ <cite lang="en" xml:lang="en">A two partner</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=117" title="Hark, a vagrant: 117">Hark, a vagrant: 117</a> <a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=118" title="Hark, a vagrant: 118">Hark, a vagrant: 118</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>？ <cite lang="en" xml:lang="en">Isn't it grand boys</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=13" title="Hark, a vagrant: 13">Hark, a vagrant: 13</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Captain My Captain</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=14" title="Hark, a vagrant: 14">Hark, a vagrant: 14</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>◎ <cite lang="en" xml:lang="en">Love me do</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=152" title="Hark, a vagrant: 152">Hark, a vagrant: 152</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Everyone is against me, except the people</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=16" title="Hark, a vagrant: 16">Hark, a vagrant: 16</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Song of the Sea</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=119" title="Hark, a vagrant: 119">Hark, a vagrant: 119</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">The famous booths</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=19" title="Hark, a vagrant: 19">Hark, a vagrant: 19</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Yes my queen</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=21" title="Hark, a vagrant: 21">Hark, a vagrant: 21</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>◎ <cite lang="en" xml:lang="en">You cannot deny the majesty</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=22" title="Hark, a vagrant: 22">Hark, a vagrant: 22</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Like an arrow</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=66" title="Hark, a vagrant: 66">Hark, a vagrant: 66</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Reaching for the Beaufort Sea</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=24" title="Hark, a vagrant: 24">Hark, a vagrant: 24</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">One hundred percent accurate</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=134" title="Hark, a vagrant: 134">Hark, a vagrant: 134</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">The more you know</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=25" title="Hark, a vagrant: 25">Hark, a vagrant: 25</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>◎ <cite lang="en" xml:lang="en">I wonder if James Munroe really had it goin' on</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=26" title="Hark, a vagrant: 26">Hark, a vagrant: 26</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Rebel Yell</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=27" title="Hark, a vagrant: 27">Hark, a vagrant: 27</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">The fate of a nation</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=28" title="Hark, a vagrant: 28">Hark, a vagrant: 28</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">The father of lies</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=30" title="Hark, a vagrant: 30">Hark, a vagrant: 30</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">OMG shoes</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=162" title="Hark, a vagrant: 162">Hark, a vagrant: 162</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Soren I hardly knew ye</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=33" title="Hark, a vagrant: 33">Hark, a vagrant: 33</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Sons of liberty</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=34" title="Hark, a vagrant: 34">Hark, a vagrant: 34</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Lord, this Newfie joke is complex</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=36" title="Hark, a vagrant: 36">Hark, a vagrant: 36</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Boat!</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=124" title="Hark, a vagrant: 124">Hark, a vagrant: 124</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>？ <cite lang="en" xml:lang="en">Blistering Barnacles</cite></dt>
<dd><a href="http://beatonna.livejournal.com/44043.html" title="Hark! A Vagrant - blistering barnacles">Hark! A Vagrant - blistering barnacles</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Poor old sailor</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=123" title="Hark, a vagrant: 123">Hark, a vagrant: 123</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Nonsense</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=125" title="Hark, a vagrant: 125">Hark, a vagrant: 125</a> <a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=129" title="Hark, a vagrant: 129">Hark, a vagrant: 129</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>◎ <cite lang="en" xml:lang="en">An 'E' for effort</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=40" title="Hark, a vagrant: 40">Hark, a vagrant: 40</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>？ <cite lang="en" xml:lang="en">Too bad for you</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=160" title="Hark, a vagrant: 160">Hark, a vagrant: 160</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">The invincible army</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=41" title="Hark, a vagrant: 41">Hark, a vagrant: 41</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Thereafter, pretentious men may quote me ad nauseum</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=42" title="Hark, a vagrant: 42">Hark, a vagrant: 42</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>○ <cite lang="en" xml:lang="en">Emperor of these United States and Protector of Mexico</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=43" title="Hark, a vagrant: 43">Hark, a vagrant: 43</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>？ <cite lang="en" xml:lang="en">Homage to the Road to Animal Farm</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=44" title="Hark, a vagrant: 44">Hark, a vagrant: 44</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">You've lost that lovin feeling</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=153" title="Hark, a vagrant: 153">Hark, a vagrant: 153</a> <a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=154" title="Hark, a vagrant: 154">Hark, a vagrant: 154</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>？ <cite lang="en" xml:lang="en">Maybe this newfangled 'police' idea is the ticket</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=46" title="Hark, a vagrant: 46">Hark, a vagrant: 46</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Fat fat ponies</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=127" title="Hark, a vagrant: 127">Hark, a vagrant: 127</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>○ <cite lang="en" xml:lang="en">Pope comics</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=128" title="Hark, a vagrant: 128">Hark, a vagrant: 128</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">JPII keeps it real always</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=209" title="Hark, a vagrant: 209">Hark, a vagrant: 209</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>○ <cite lang="en" xml:lang="en">Prime Minister Parade</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=49" title="Hark, a vagrant: 49">Hark, a vagrant: 49</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Unsolved Mysteries</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=50" title="Hark, a vagrant: 50">Hark, a vagrant: 50</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>○ <cite lang="en" xml:lang="en">What you and I have, is so Riel</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=51" title="Hark, a vagrant: 51">Hark, a vagrant: 51</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>○ <cite lang="en" xml:lang="en">Say hello to my little friend</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=52" title="Hark, a vagrant: 52">Hark, a vagrant: 52</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Fat Napoleon</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=135" title="Hark, a vagrant: 135">Hark, a vagrant: 135</a> <a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=136" title="Hark, a vagrant: 136">Hark, a vagrant: 136</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">In which Robin breaketh the 4th wall</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=53" title="Hark, a vagrant: 53">Hark, a vagrant: 53</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Adventure Time</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=54" title="Hark, a vagrant: 54">Hark, a vagrant: 54</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Hey Santa</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=163" title="Hark, a vagrant: 163">Hark, a vagrant: 163</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Mary Mary quite contrary</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=56" title="Hark, a vagrant: 56">Hark, a vagrant: 56</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">In service of the King</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=131" title="Hark, a vagrant: 131">Hark, a vagrant: 131</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>○ <cite lang="en" xml:lang="en">Eat your heart out, Milli Vanilli</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=57" title="Hark, a vagrant: 57">Hark, a vagrant: 57</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>○ <cite lang="en" xml:lang="en">During lunch hour, I...</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=59" title="Hark, a vagrant: 59">Hark, a vagrant: 59</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">The Patriot</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=60" title="Hark, a vagrant: 60">Hark, a vagrant: 60</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">How to ruin a Greman's breakfast</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=38" title="Hark, a vagrant: 38">Hark, a vagrant: 38</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>◎ <cite lang="en" xml:lang="en">Nikola Tesla mad for science and the ladies mad for Nikola Tesla</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=61" title="Hark, a vagrant: 61">Hark, a vagrant: 61</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">I am trying to be noble here</cite></dt>
<dd><a href="http://beatonna.livejournal.com/29177.html" title="Hark!  A Vagrant - I Am Trying To Be Noble Here">Hark!  A Vagrant - I Am Trying To Be Noble Here</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>◎ <cite lang="en" xml:lang="en">You're a hell of a dame</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=159" title="Hark, a vagrant: 159">Hark, a vagrant: 159</a> に以前はあったようだけれども、作者の意向により別の無関係のイラストに置き換えられている。</dd>
</dl>


<dl>
<dt>○ <cite lang="en" xml:lang="en">The silliest thing</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=64" title="Hark, a vagrant: 64">Hark, a vagrant: 64</a> （のちに<a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=254" title="Hark, a vagrant: 64">リメイク</a>されている）</dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Playing with the boys</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=133" title="Hark, a vagrant: 133">Hark, a vagrant: 133</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Sweet Freedom</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=140" title="Hark, a vagrant: 140">Hark, a vagrant: 140</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">As you're told</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=65" title="Hark, a vagrant: 65">Hark, a vagrant: 65</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>△ <cite lang="en" xml:lang="en">Whoring out history</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=156" title="Hark, a vagrant: 156">Hark, a vagrant: 156</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>◎ <cite lang="en" xml:lang="en">How do you like them apples</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=164" title="Hark, a vagrant: 164">Hark, a vagrant: 164</a></dd>
</dl>


<dl>
<dt>◎ <cite lang="en" xml:lang="en">To say nothing of a skin disease</cite></dt>
<dd><a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=15" title="Hark, a vagrant: 15">Hark, a vagrant: 15</a></dd>
</dl>


<p>多くは歴史上の人物を題材としているけれども、歴史物とひとくくりにするには無理のある例外もいくつか含まれている。作者が古今東西の歴史に関心を持っていることは明らかだけれども、描かれている対象はあくまで人物であって、とくにその性格や気質といった極めて個人的な側面に限定されている。その意味では映画トップガンのビーチバレーの場面も、ロベスピエールが人びとをギロチンにかける場面も、作者の関心からすればたいして違いがないということになるんだろう。実際、似たような筆致で描かれている。収録作品を厳密に歴史物で統一しようと思えばできただろうが、そうしなかった理由はわからない。しかし、描写のノリは一貫しているので読んでいて別に違和感なくまとまっている。</p>

<p>それぞれのコミックのおもしろさの質は、大別するなら史実の出来事や人物そのものに由来するものと作者の創作した部分によるものと二つある。前者のほうでは特に取り立てて言うほどの傑作はなかったけれども、この手のタイプのコミックは時として調べ物のために読まされるウィキペディアの記事のほうがおもしろかったりする。たとえばアメリカ合衆国皇帝を名乗った男の話などは当該のコミックそっちのけで読みふけってしまった。</p>

<p>作者の創作に由来するユーモアは基本的にカリカチュアといっていい。人物の性格を誇張したり、あるいは子供っぽくさせたりとやってることはどれも大差ない。理屈で真面目に考えるならば歴史上の偉人をちゃかしているだけで馬鹿げているとか幼稚だとか思えそうなネタにそれでも笑えてしまうのは、ひとつにはこの作者のいちばん目を引く特徴といっていいデフォルメされたキャラクターデザインによる独特の表情の描き方にあると認めなければならないだろう。もうひとつには、この作者は人物の感情を反映したちょっとした仕草をとらえて形にするのが巧みだということがある。カナダ首相ピエール・トルドーの奥さんを描いたカットがその例で、史実の時代背景や奥さんの人柄などとは無関係にその仕草の表現だけで大いに気に入ってしまった。この作者の描く人物は解剖学的な正確さには程遠く、描線も殴り書きに近い荒っぽさが目立つけれども、そういった短所を長所が補って余りある絵柄だと言うべきだろう。</p>

<p>とくに僕の気に入った上位の三つを挙げるならば、何よりもまず<a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=23" title="Hark, a vagrant: 23">独立宣言起草前夜のベンジャミン・フランクリン</a>、次に<a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=164" title="Hark, a vagrant: 164">ネルソン提督の最期</a>、そして<a href="http://harkavagrant.com/index.php?id=15" title="Hark, a vagrant: 15">ジャン＝ポール・マラーの暗殺</a>ということになる。あとの二つは史実の部分は別にどうということはなく、作者の創作による部分がおもしろいタイプのもの。ベンジャミン・フランクリンのネタはかなり稀なケースで、これは単純に史実に脚色を加えたほぼすべてのその他の収録作とは異なって、史実をひねる形で別の史実につなげるというネタをやっている。ほかの二つを引き合いに出して言えば、ネルソンの今わの際にこんなコントじみたやりとりがあったはずがなく、またマラーも湯船につかってアヒルのおもちゃで遊んでいたという史料は残ってないだろう。ただ、もしそうだったらおもしろいというだけのことだ。フランクリンのほうについても描かれていることが史実でないことには変わりないが、「もしそうだったら」という条件を部分的に支える史実の要素のおかげで、フィクションの出来事を後押しする積極性のようなものがあり、馬鹿げたカリカチュアに不思議な説得力を持たせている。</p>

<p>肖像画や写真の伝わっている偉人や著名人を扱ったコミックにおいて、作者の絵を似顔絵として見た場合、決して出来が良いとは言えないだろう。幾人かはかなり丁寧に似せて描いたことが見て取れるけれども、全体的にはその度合いがバラバラで、よく特徴をつかんでいるものと適当なものとの差が激しい。こういったムラのある出来は、不定期更新でとくに制約もなく作者が気の向いたときに自由に描きちらせるウェブコミックというものの性格を反映したものとみなせるだろう。そうはいっても、このウェブコミックがまったく何の修正や加筆もないまま紙に印刷されて本になったことは僕にとってちょっと驚きだった。これをそのまま出してしまうのかという感じで。</p>

<p>本書の体裁はとても簡素。 "PRINTED IN CANADA" と書いてあるくせに出版の日付もなければ出版社の名前すらどこにも見当たらない。そのいっぽうで紙質は悪くないし、製本も比較的しっかりしているほうだ。調べ物にあまりに時間を費やしたので読み終わるまでかなり手間取ってしまい、徒労感もないわけじゃないが、独立した極めて短いコミックの寄せ集めというフォーマットを考慮すれば傑作ばかりを期待できるはずもなく、そこそこよくできた作品集というべきだろう。</p>]]>
   </content>
</entry>
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   <title>2011年を振り返る</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kosame.org/2011/12/best-of-2011/" />
   <id>tag:kosame.org,2011://1.293</id>
   
   <published>2011-12-31T05:35:00Z</published>
   <updated>2011-12-31T05:42:34Z</updated>
   
   <summary>今年読んだもののうち、とくに印象に残ったものを挙げてみた。</summary>
   <author>
      <name>Mochi</name>
      <uri>http://kosame.org/</uri>
   </author>
         <category term="Notes" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kosame.org/">
	<![CDATA[<p>今年読んだもののうち、とくに印象に残ったものを挙げてみた。</p>

<h2 class="subhead">#1</h2>

<dl class="caption" lang="en" xml:lang="en">
<dt><a href="/2011/11/cursed-pirate-girl-1/" title="kosame.org: Cursed Pirate Girl, Vol. 1（コミックレビュー）"><img src="/reviews/comics/cursed-pirate-girl-1.jpg" alt="Cursed Pirate Girl by Jeremy A. Bastian: Cover" height="184" width="120" /></a></dt>
<dd><ul><li><cite>Cursed Pirate Girl, Vol. 1</cite></li>
<li>Author: Jeremy A. Bastian</li>
<li>Publisher: Olympian Publishing</li>
<li>Release: November 2010</li>
<li>Size: 17cm x 26.1cm</li>
<li>ISBN: 9781450743709</li>
<li>Format: Softcover</li>
<li>114 pages</li>
<li>$20.00</li>
</ul></dd>
</dl>


<h3 class="subhead">寸評</h3>

<p>まるで古地図に描かれた絵柄がそのまま漫画になったかのような驚異的なデザインセンス。時代考証の正確さがどうのこうのと言う以前に筆致そのものが前時代的な古めかしさを模しているため、実在したはずのない空想上の生き物を作品世界にねじ込んでもまったく違和感なく見えてしまう。それどころか、当時のヨーロッパ人の未開世界に対する偏見、および植民地へ富を求める期待に通底する奔放な想像力を反映しているんじゃないかと錯覚させるほどのリアリティがある。凄まじい個性の塊とでも言うべき一冊。</p>

<p>来年の6月には <a href="http://www.archaia.com/archaia-titles/cursed-pirate-girl/" title="Cursed Pirate Girl | Archaia Entertainment">Archaia Entertainment</a> からハードカバー版の刊行が予定されている。著者のブログによれば内容にいくらか手を加えるらしいので、その異同を含め、本作のレビューで見落としてしまった点を改めて書くことにしたい。</p>

<h2 class="subhead">#2</h2>

<dl class="caption" lang="en" xml:lang="en">
<dt><img src="/reviews/comics/xiii-4-spads.jpg" alt="XIII Vol. 4 by Jean Van Hamme &amp; William Vance: Cover" height="167" width="120" /></dt>
<dd><ul><li><cite>XIII Vol. 4: Spads</cite></li>
<li>Writer: Jean Van Hamme</li>
<li>Artist: William Vance</li>
<li>Publisher: Cinebook</li>
<li>Release: November 2010</li>
<li>Size: 18.4cm x 25.7cm</li>
<li>ISBN: 9781849180580</li>
<li>Format: Softcover</li>
<li>48 pages</li>
<li>£5.99/$11.95</li>
</ul></dd>
</dl>


<h3 class="subhead">寸評</h3>

<p>ちゃんとしたレビューは来年書くことになるだろう。前巻の予想外のおもしろさに期待してページをめくっていったらXIIIの正体をめぐる新事実の山に度肝を抜かれた。これまでの三巻をあわせたよりもさらに濃密な一冊と言える。これを読んだあとでは正直言って <cite lang="en" xml:lang="en">All the Tears of Hell</cite> についてちょっと褒めすぎちゃったかなと思えてくる。このシリーズを人に薦める場合には、とりあえず <cite lang="en" xml:lang="en">Spads</cite> まで読んで判断しろと言うべきだろう。</p>

<h2 class="subhead">#3</h2>

<dl class="caption" lang="en" xml:lang="en">
<dt><a href="/2011/06/nonplayer-1/" title="kosame.org: Nonplayer #1（コミックレビュー）"><img src="/reviews/comics/nonplayer-1.jpg" alt="Nonplayer #1: Cover" height="180" width="120" /></a></dt>
<dd><ul><li><cite>Nonplayer #1</cite></li>
<li>Author: Nate Simpson</li>
<li>Publisher: Image Comics</li>
<li>Release: May 2011</li>
<li>Size: 16.8cm x 25.8cm</li>
<li>Format: Comic Book</li>
<li>32 pages</li>
<li>$2.99</li>
</ul></dd>
</dl>


<h3 class="subhead">寸評……というか、雑感</h3>

<p>年内に続きが出そうにないことは覚悟していたけれども、著者のブログを読んだ限りではさらに長引きそうだ。骨折したと聞いたときにはその不運に対して率直に同情した。続いていかにも新人らしい産みの苦しみに抗して自らを鼓舞するような決意表明には共感を覚えた。しかしながら、ここに来て仕事の口を募集するに至っては、この人なにやってんのと半ば呆れ、半ば心配せずにはいられない。まあ、本作を完結させる覚悟だけは確かなもののようなのでこちらは首を長くして待つだけだ。ちなみに僕が今年購入したコミックブックはこれと <cite lang="en" xml:lang="en">New York Five #1</cite> だけだ。打率5割ってなかなかできることじゃないよ。</p>

<h2 class="subhead">#4</h2>

<dl class="caption" lang="en" xml:lang="en">
<dt><img src="/reviews/comics/the-stuff-of-legend-2.jpg" alt="The Stuff of Legend, Book 2: Cover" height="120" width="120" /></dt>
<dd><ul><li><cite>The Stuff of Legend, Book 2: The Jungle</cite></li>
<li>Writer: Mike Raicht &amp; Brian Smith</li>
<li>Artist: Charles Paul Wilson III</li>
<li>Publisher: Random House/Villard</li>
<li>Release: May 2011</li>
<li>Size: 20.3cm x 20.3cm</li>
<li>ISBN: 9780983216100</li>
<li>Format: Softcover</li>
<li>144 pages</li>
<li>$16.99</li>
</ul></dd>
</dl>


<h3 class="subhead">寸評と雑感</h3>

<p>おもちゃの一行が当初は程度の差こそあれ、みな主人である少年へ忠誠を誓った家来の群のように思えたけれども、次第にひとりひとりのキャラクターを掘り下げていって人間臭さが出ている。第1巻で解決したかに見えた問題を意外な形でぶり返したり、ザ・ダークでの少年の消息を追う展開もあったりと非常におもしろい。レビューを書くには少なくともあと一度は通して読む必要があるんだけれども、残念なことにページの後ろ半分がごっそり外れて再読に堪えない状態になってしまった。もとからあまり製本が頑丈ではないせいもあるかもしれないが、輸送中にダメージを受けて読む前からひん曲がっていた。我慢して何とか読み返すか、買いなおそうか検討中。</p>

<h2 class="subhead">#5</h2>

<dl class="caption" lang="en" xml:lang="en">
<dt><a href="/2011/03/madwoman-of-the-sacred-heart/" title="kosame.org: Madwoman of the Sacred Heart"><img src="/reviews/comics/madwoman-of-the-sacred-heart.jpg" alt="Madwoman of the Sacred Heart: Cover" height="153" width="120" /></a></dt>
<dd><ul><li><cite>Madwoman of the Sacred Heart</cite></li>
<li>Writer: Alexandro Jodorowsky</li>
<li>Artist: Moebius</li>
<li>Publisher: Humanoids</li>
<li>Release: December 2010</li>
<li>Size: 19.7cm x 26.8cm</li>
<li>Format: Hardcover</li>
<li>ISBN: 9781594650987</li>
<li>192 pages</li>
<li>$29.95</li>
</ul></dd>
</dl>


<h3 class="subhead">寸評</h3>

<p>一読して何とも説明しがたい感動に心揺さぶられた事実は認めないわけにはいかない。しかし、その感動に実質が伴なっているのかどうかという不安がつきまとうのも事実だ。それでも <cite lang="en" xml:lang="en">The Eyes of the Cat</cite> を読んだ直後では、同じコンビによる作品でもこっちはずいぶんとサービス精神旺盛で愉快な漫画だったなとしみじみ感じずにはいられない。</p>

<h2 class="subhead">総評</h2>

<p>月に一回、年十二回の更新という苛酷なノルマが達成できなかったのは仕方がないとして、今年は買う量を減らしたわりに結構おもしろい作品に出会えた良い一年だったと言える。</p>]]>
   </content>
</entry>
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   <title>The Eyes of the Cat</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kosame.org/2011/12/the-eyes-of-the-cat/" />
   <id>tag:kosame.org,2011://1.292</id>
   
   <published>2011-12-27T11:10:00Z</published>
   <updated>2011-12-27T11:09:11Z</updated>
   
   <summary>p. Les Yeux du chat の英訳版。出版社のサイトでは両著者の初のコラボレーションと謳っている。ホドロフスキーの序文によれば1977年から翌年にかけて制作された作品とのこと。750部限定のふれ込みに思わず手が出てしまい、結論から先に言うとやっちまった感の否めない性急な判断だったと認めざるをえない。作品の性格からしてレビューのしづらい一冊なんだけれども、せっかく買った本なので思うところを漫然とつづってみたい。</summary>
   <author>
      <name>Mochi</name>
      <uri>http://kosame.org/</uri>
   </author>
         <category term="Comics" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kosame.org/">
	<![CDATA[<dl class="caption" lang="en" xml:lang="en">
<dt><a href="/reviews/comics/the-eyes-of-the-cat-closeup.jpg" class="zoom" title="The Eyes of the Cat by Alexandro Jodorowsky &amp; Moebius"><img src="/reviews/comics/the-eyes-of-the-cat.jpg" alt="The Eyes of the Cat: Cover" height="160" width="120" /></a></dt>
<dd><ul><li><cite>The Eyes of the Cat</cite></li>
<li>Writer: Alexandro Jodorowsky</li>
<li>Artist: Moebius</li>
<li>Publisher: Humanoids</li>
<li>Release: December 2011</li>
<li>Size: 30.8cm x 40.7cm</li>
<li>ISBN: 9781594650581</li>
<li>Format: Hardcover</li>
<li>56 pages</li>
<li>$69.95</li>
</ul></dd>
</dl>


<h2 class="subhead">レビュー</h2>

<p><cite lang="fr" xml:lang="fr">Les Yeux du chat</cite> の英訳版。<a href="http://www.humanoids.com/album/260" title="The Eyes of the Cat - Limited Edition Super-oversized Deluxe Hardcover">出版社のサイト</a>では両著者の初のコラボレーションと謳っている。ホドロフスキーの序文によれば1977年から翌年にかけて制作された作品とのこと。750部限定のふれ込みに思わず手が出てしまい、結論から先に言うと<strong>やっちまった感</strong>の否めない性急な判断だったと認めざるをえない。作品の性格からしてレビューのしづらい一冊なんだけれども、せっかく買った本なので思うところを漫然とつづってみたい。</p>

<p>まず言及しなければならないのは通常の規格を大幅に外れた判型だ。海外の漫画を手当たり次第に買い漁ったとしても、これほどの大きさのものに出くわすことはかなり稀なんじゃないだろうか。もう捨ててしまったので正確な比較は出来ないが、ブライアン・チッペンデールの <cite lang="en" xml:lang="en">Ninja</cite> がほぼ同じくらいの大きさだったと記憶している。これより巨大な漫画本は僕の知るところでは <cite lang="en" xml:lang="en">Kramers Ergot 7</cite> くらいしかない。内容を気に入るか否かに関わらず、購入したが最後、収納に困ることだけは間違いないはずだ。</p>

<p>本書のストーリーは、あえてストーリーという言葉を使うのがためらわれるほど短くあっけない。ホドロフスキーがメビウスに対して提示した当初の構想はたったの5ページだったそうだけれども、そこへ残りの50ページほどを追加したのではなく、もともと5ページで済む話を10倍に敷衍したとみなしてかまわない。なにしろこの漫画は通常のコマ割りを一切やらず1ページ1コマのスタイルに終始している。しかもそのうち左側の17ページ分はまったく同じ絵の使いまわしだ。</p>

<p>登場するキャラクターは少年と鷹と猫の三者。僕にはこの少年が、パッと見は痩せた坊さんで少なくとも未成年には見えないんだけれども、ホドロフスキーが <q lang="en" xml:lang="en">boy</q> と呼んでいるので少年ということになっているんだろう。この三者の関わるほんのひと時の出来事がストーリーのすべてということになる。この出来事は非常にグロテスクでおぞましく、部分的に注目するならばホラー漫画の一幕にしか見えないものだ。三者がどのように出来事に関わってどのように終わったのかという外見上の一部始終はありのままに呈示されている。わかりにくいのはこのようにグロテスクな出来事によってストーリー全体として何を意味しているのかというような問題だ。</p>

<p>ストーリー全体の意味を問わずにいられないのは、何よりもまず唯一の人間として登場する少年が常軌を逸した所業に耽っているにもかかわらず、それを意味付けるためのコンテクストが欠けているからだ。すなわち、少年の動機や経緯、そして出来事が社会的に持つ意味や他者との緊張関係など、一般的なストーリー漫画ならば当然あるべき要素のことだ。すなわち現実世界で生活している読者に対してフィクションの世界の登場人物へ能動的な関与を促すもので、これがないとストーリー解釈の取っ掛かりがない、ツッコミどころもないということになる。</p>

<p>あえてこの作品を通常の漫画のようにストーリーに力点を置いて解釈するならば、寓話として読むほかにないんじゃないだろうか。すなわち、少年を人間の、猫を自然の象徴として受け止め、飽くなき欲望にまかせて自然からありとあらゆる富を収奪して止むことのない人間といったような構図で……。なにしろ少年はこの出来事を <q lang="en" xml:lang="en">game</q> と呼んでいる。つまり、生存の必要に駆られてではなく、一回限りのものでもない、終わることのない資本主義の蕩尽ゲームとでもいったような……。自分で説明しながらしらじらしい気分にならざるをえない。こんな浅はかな資本主義批判を意図して作者がこの作品を考案したはずがないだろう。作中の表現のなかでどこにアクセントが置かれているかということに注目すれば、おのずからこの手の解釈は不毛だと思える。</p>

<p>通常のストーリー漫画を散文とするならば、この作品は詩のようなものとして解釈されるべきだろう。僕がここで「詩のようなもの」と言うのは、一瞬の感覚や感情、あるいはイメージを喚起することにこの作品の主眼があると思うからだ。岩にしみいるほどにうるさく鳴くセミの声のせいでかえって閑かに感じたという内容の俳句を読んで、だからどうしたとか、それからどうなったとか問うても意味がないように、この漫画についても描かれている出来事に対してストーリー漫画のようなストーリー性を期待しても仕方がないんじゃないだろうか。</p>

<p>この作品には二つの驚きの瞬間がある。一つは少年の正体について読者が知ることになる瞬間だ。少年が遠く離れた場所の様子を知ることが出来るという事実から、はじめ読者は彼が単純に超能力のような力を兼ね備えた人間であるように錯覚してしまうが、実は人間として欠損した部分のあることが終盤になって見て取れる。そこで初めて少年の目的を知ることになり、このおぞましい出来事そのものにギョッとすることになる。少年の姿の衝撃に思わず目を奪われてしまうだろうけれども、注意深く読んだならばこの時点である疑問を抱いていていいはずだ。すなわち、少年は自分の念頭にある対象が猫であるという事実に気づいていなかったんじゃないだろうかということだ。先に説明したように、彼は遠く離れた場所のことを把握したうえで心のつぶやきを読者に対して披露するんだけれども、「猫」という言葉は実は一度も使っていない。知らなかったと解釈するのが妥当だろう。次の驚きの瞬間、すなわち彼の取り乱した身振りと表情がその証拠だ。したがって、最初の驚きの前提となっている表現、すなわち左のページにおいて延々と同じ絵を使いまわしたことが、次の驚きを増幅させる仕組みになっていると言える。</p>

<p>絵は左のページが簡略化された筆致で描かれ、奥のほうから強い光が射していることを反映してほとんど影絵のようにディテールを曖昧にしたまま終始している。対照的に右側のページはメビウスの緻密な筆致で描かれ、左側のページで足りない情報を補うべく読者の凝視を誘うようになっている。つまり、この漫画の左右のページはそれぞれウエハースとアイスクリームのような関係になっていて、それを初めから終わりまで繰り返していることになる。メビウスの画力を活かすアイデアには違いない。しかし、作中でおそらく最も鮮烈で異様なものに違いないイメージは実は描かれていない。すなわち、結末で少年が<strong>見た</strong>ものは実際には描かれず、言葉でも語られていない。与えられた設定から読者が想像するにまかせるということをやっている。これだけ大判の紙を使い、余白もあり余っているというのになんてもったいぶったことをしてるんだろうと愚痴りたくならないこともない。もっとも、作者が具体的なイメージを頭に描いていたかどうかはわからないが。</p>

<p>結論としては、作者の意図したところを自分なりに理解して堪能したうえでも、お世辞にも満足したとは言えない。こういうのは一回読めばじゅうぶんだよと思う。この大判といい、ストーリー性を棚上げした詩のような作風といい、効果の割にずいぶんと大げさで示威的なことをやっているように感じられてならない。メビウスが新しくページを仕上げるたび、ホドロフスキーは往復60マイルを行き来して観に行ったというが、僕には到底理解できそうにない境地だ。</p>]]>
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