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国内外の漫画を読んでレビューを書くウェブログ

2011年を振り返る

今年読んだもののうち、とくに印象に残ったものを挙げてみた。

#1

Cursed Pirate Girl by Jeremy A. Bastian: Cover
  • Cursed Pirate Girl, Vol. 1
  • Author: Jeremy A. Bastian
  • Publisher: Olympian Publishing
  • Release: November 2010
  • Size: 17cm x 26.1cm
  • ISBN: 9781450743709
  • Format: Softcover
  • 114 pages
  • $20.00

寸評

まるで古地図に描かれた絵柄がそのまま漫画になったかのような驚異的なデザインセンス。時代考証の正確さがどうのこうのと言う以前に筆致そのものが前時代的な古めかしさを模しているため、実在したはずのない空想上の生き物を作品世界にねじ込んでもまったく違和感なく見えてしまう。それどころか、当時のヨーロッパ人の未開世界に対する偏見、および植民地へ富を求める期待に通底する奔放な想像力を反映しているんじゃないかと錯覚させるほどのリアリティがある。凄まじい個性の塊とでも言うべき一冊。

来年の6月には Archaia Entertainment からハードカバー版の刊行が予定されている。著者のブログによれば内容にいくらか手を加えるらしいので、その異同を含め、本作のレビューで見落としてしまった点を改めて書くことにしたい。

#2

XIII Vol. 4 by Jean Van Hamme & William Vance: Cover
  • XIII Vol. 4: Spads
  • Writer: Jean Van Hamme
  • Artist: William Vance
  • Publisher: Cinebook
  • Release: November 2010
  • Size: 18.4cm x 25.7cm
  • ISBN: 9781849180580
  • Format: Softcover
  • 48 pages
  • £5.99/$11.95

寸評

ちゃんとしたレビューは来年書くことになるだろう。前巻の予想外のおもしろさに期待してページをめくっていったらXIIIの正体をめぐる新事実の山に度肝を抜かれた。これまでの三巻をあわせたよりもさらに濃密な一冊と言える。これを読んだあとでは正直言って All the Tears of Hell についてちょっと褒めすぎちゃったかなと思えてくる。このシリーズを人に薦める場合には、とりあえず Spads まで読んで判断しろと言うべきだろう。

#3

Nonplayer #1: Cover
  • Nonplayer #1
  • Author: Nate Simpson
  • Publisher: Image Comics
  • Release: May 2011
  • Size: 16.8cm x 25.8cm
  • Format: Comic Book
  • 32 pages
  • $2.99

寸評……というか、雑感

年内に続きが出そうにないことは覚悟していたけれども、著者のブログを読んだ限りではさらに長引きそうだ。骨折したと聞いたときにはその不運に対して率直に同情した。続いていかにも新人らしい産みの苦しみに抗して自らを鼓舞するような決意表明には共感を覚えた。しかしながら、ここに来て仕事の口を募集するに至っては、この人なにやってんのと半ば呆れ、半ば心配せずにはいられない。まあ、本作を完結させる覚悟だけは確かなもののようなのでこちらは首を長くして待つだけだ。ちなみに僕が今年購入したコミックブックはこれと New York Five #1 だけだ。打率5割ってなかなかできることじゃないよ。

#4

The Stuff of Legend, Book 2: Cover
  • The Stuff of Legend, Book 2: The Jungle
  • Writer: Mike Raicht & Brian Smith
  • Artist: Charles Paul Wilson III
  • Publisher: Random House/Villard
  • Release: May 2011
  • Size: 20.3cm x 20.3cm
  • ISBN: 9780983216100
  • Format: Softcover
  • 144 pages
  • $16.99

寸評と雑感

おもちゃの一行が当初は程度の差こそあれ、みな主人である少年へ忠誠を誓った家来の群のように思えたけれども、次第にひとりひとりのキャラクターを掘り下げていって人間臭さが出ている。第1巻で解決したかに見えた問題を意外な形でぶり返したり、ザ・ダークでの少年の消息を追う展開もあったりと非常におもしろい。レビューを書くには少なくともあと一度は通して読む必要があるんだけれども、残念なことにページの後ろ半分がごっそり外れて再読に堪えない状態になってしまった。もとからあまり製本が頑丈ではないせいもあるかもしれないが、輸送中にダメージを受けて読む前からひん曲がっていた。我慢して何とか読み返すか、買いなおそうか検討中。

#5

Madwoman of the Sacred Heart: Cover
  • Madwoman of the Sacred Heart
  • Writer: Alexandro Jodorowsky
  • Artist: Moebius
  • Publisher: Humanoids
  • Release: December 2010
  • Size: 19.7cm x 26.8cm
  • Format: Hardcover
  • ISBN: 9781594650987
  • 192 pages
  • $29.95

寸評

一読して何とも説明しがたい感動に心揺さぶられた事実は認めないわけにはいかない。しかし、その感動に実質が伴なっているのかどうかという不安がつきまとうのも事実だ。それでも The Eyes of the Cat を読んだ直後では、同じコンビによる作品でもこっちはずいぶんとサービス精神旺盛で愉快な漫画だったなとしみじみ感じずにはいられない。

総評

月に一回、年十二回の更新という苛酷なノルマが達成できなかったのは仕方がないとして、今年は買う量を減らしたわりに結構おもしろい作品に出会えた良い一年だったと言える。