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Yoko Tsuno Vol. 2 The Time Spiral

Yoko Tsuno Vol. 2: The Time Spiral: Cover
  • Yoko Tsuno Vol. 2: The Time Spiral
  • Author: Roger Leloup
  • Publisher: Cinebook
  • Release: Januray 2008
  • Size: 28.7cm x 21.7cm
  • Format: Softcover
  • ISBN: 1905460434
  • 48 pages
  • £5.99

レビュー

このシリーズの第11巻である La spirale du temps の英訳版。オリジナルは1981年の刊行。未来の地球に破滅をもたらす爆弾の開発を阻止すべくタイムマシンに乗って現在にやってきた身寄りのない少女をヨーコが助け、地球の命運を懸けてともに奔走するという話。時間を遡って現実を修正してしまえばなんでもなかったことにしてしまえる強力なSF的装置を駆使しながらも、常人にはその存在が信じがたいテクノロジーを利用することに付随する困難な問題に主人公を立ち向かわせることによって、そこに非現実的な体験のリアリティをうまく演出している。また、主人公の出身地が話の舞台になっていることから、この謎めいたキャラクターの素性の一端を知ることも出来る興味深い内容になっている。

このストーリーの根本には二つのSF的設定がある。一つはタイムマシンの存在であり、もう一つは地球を破壊するほどの威力を持つ爆弾に結実するテクノロジーにまつわる謎だ。爆弾の元となるテクノロジーに旧日本軍の一部が関与していて、さらにその部隊の中枢にいるのがヨーコの大叔父であるという設定によって、作者はタイムマシンという便利極まりないSF的装置の恣意性を主人公のヨーコ自身が引き受けるべき問題の困難さに巧く転化している。つまり、ヨーコが未来に生じる問題の根源をつきとめるためにタイムマシンを使って過去に遡り、命懸けで大叔父に会って自分の身柄を説明し、テクノロジーの開発を止めるよう説得しなければならなくなるというところがこの漫画のおもしろいところ。そのようにタイムマシンについてはその設定がよく活かされているいっぽうで、爆弾の開発にからむ謎のほうはいかにも作り物らしいサイエンスフィクションならではのご都合主義的なものにとどまっている。ヨーコたちが謎の核心に迫っていく過程で姿を現す関係者のなかには地球を破壊するという大それた野望やそれほどの威力のある爆弾を開発しようという意思を持ち合わせた人物は実はひとりもいない。それではどのようにして高度なテクノロジーが発達していったのかという根拠を、作者はいつどこからやってきたのかわからない未知の生命体なるものの意思に還元してしまっている。それが残念なところだ。

この話には旧日本軍の部隊が登場するのでヨーコ以外の日本人が何人か描かれている。軍服を着た将校や兵士たちが、綿密な時代考証はともかくパッと見にはおかしなところがないいっぽうで、ひとりだけ明らかに場違いな恰好をした人物がいる。ミナイ教授と呼ばれる老人は、軍の管理化におかれている科学施設で働く研究者であるにもかかわらず、なぜか合気道の先生のような恰好をしてうろうろしている。作者は、人物の顔を描く際に横目の表情を多用するんだけれども、日本の漫画とは文法が異なるため妙な印象を受ける箇所もある。下まぶたのふっくらとした細い横目が何か悪巧みでもしているかのように見えても、実際にはそんな意図で描かれているわけではないというように。

Rating
7/10
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これは海外の漫画について書いたkosame.orgのレビューのひとつで、2008年8月16日に公開されています。その他のコミックレビュー同じ年に書いた記事のアーカイブなどもご参照ください。

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