2007年に読んだ漫画について
今年刊行されたものに限定して、僕が読んでみておもしろいと思ったものを順に挙げてみる。まあ、年末恒例のどこでもやってるやつ。
2007年のおもしろかった漫画10冊
- The Killer Vol. 1 by Jacamon & Matz

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#1から#4までを収録。文句なしに今年いちばんおもしろかった漫画。孤独な殺し屋の心の奥底に潜む懊悩の内実に端的な論理的根拠を与えてしまわず、回り道をして人類の歴史や社会についてのシニカルな見解を並べることによって説得力と迫力を持たせる手際が見事。日本の漫画ならそれが当然なのかもしれないが、中身に合わせて自在に伸縮しているかのようなコマ割りによって読み心地が随分なめらか。背景は建物の輪郭などの直線も温かみのある手描きで引かれており、またフルカラーの色彩によって地下道の薄明かりや鬱蒼とした湿地帯の大気の厚みを感じさせる繊細な光の表現などが素晴らしい。
- 浅野いにお おやすみプンプン 第1巻
- Yoko Tsuno Vol. 1: On the Edge of Life by Roger Leloup
- Garage Band by Gipi
- 惣領冬実 チェーザレ 第3巻

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チェーザレと側近のミゲルとの主従関係が単純な忠義では計れないものであることが示されると同時に、素朴で御しやすいはずの主人公アンジェロに対してチェーザレからの意外な評価を与えさせ、さらに自身が権謀術数の出世街道を邁進することを充分覚悟していたかに思われたチェーザレ自身の心の揺らぎのような部分まで描いており、人間関係に新たなダイナミズムが生まれてきてとてもおもしろい巻。
- 雁須磨子 かよちゃんの荷物 第1巻

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30歳で未婚の女の人を主人公に据え、仕事や結婚など現実的に差し迫った問題に直面するにあたっての悩みや焦りを同世代の友人とはちょっとずれた感覚で吐露するところにユーモアのあるおもしろい漫画。太ったかよちゃんの腹の肉もすごい。
- くらもちふさこ 駅から5分 第1巻

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それぞれがある程度には独立して完結している五つのエピソードからなる作品。同じ街を舞台にしていて、あるエピソードで主人公を務めた登場人物が別のエピソードでチラッと登場するといった関係にある。インターネット上のコミュニケーションを題材にしたものがとくに良かった。こちらからの呼びかけに即座に返答が繰るとは限らない、またそれが好意的なものである保証もないオンラインフォーラム(?)での会話のやりとりの図示の仕方がおもしろい。家族に反発する年頃の女の子の強い自尊心と上ずった善意との相反するような側面を本人に気付かせるという、まあインターネット利用者なら誰でも多かれ少なかれ心当たりがあるんじゃないかと思えることを描いていて人ごとじゃあない。
- 都留泰作 ナチュン 第2巻

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アフタヌーンでの新連載を初めて読んだときには、主人公の先走りがちな誇大妄想がハッタリとこけおどしに過ぎず、またそれが新連載に意気込む著者自身の性格を反映しているかのように思えてうんざりした。第二話以降は海女や漁師たちとの人間関係と言えるものをまともに描きだしたのでおもしろく読めるようになった。これまで話のすじの前面に姿をあらわさなかった人物の得体の知れない素行や海中を泳ぐ人工魚などSFらしい味わいも出てきた。因習に縛られた琉球の島の不気味さと息苦しさを、主人公の放浪学生とまんざらでもない関係になりかける人妻でもってリアルに描いている。
- 平本アキラ 俺と悪魔のブルーズ 第4巻

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人間じみた知性まで兼ね備えた狩猟犬の獰猛さをたびたび説明されるのにはちょっと辟易した。それでも、傍若無人でやりたい放題にも見えたマクドナルドが持っている町民に対する権力の実際のあり方にそれなりのリアリティがあったり、単純に白人対黒人という図式に収まらない緊張関係が描かれているのがいいと思った。
- Spent by Joe Matt



